「全国中等学校野球大会の歌」の印刷譜を入手しました。
CD
『SP音源復刻盤 信時潔作品集成』 の解説書p.75に掲載した楽譜は、信時家に残っていたものですが、楽譜帳に貼られていて、掲載誌(紙)がわかりません。活字の感じから、新聞というよりアサヒグラフなどの可能性が高いと思って、私も随分調べましたし、朝日新聞社にも問い合わせてみたのですが、わかりませんでした。
初演当時のアサヒコーラス、何度かのレコード録音、そして毎年の野球大会で歌われたはずですが、どの楽譜を使っていたのでしょうか。
今回入手した楽譜は、歌詞と旋律譜、数字譜付というもので、1枚二つ折り計4ページ
タイトル等の表記は
「全國中等學校/野球大會の歌/(朝日新聞社懸賞募集一等當選)/福武周夫作歌/信時潔作曲/大阪朝日新聞社」
日付の記載なし。最終ページに「非賣品」とあります。
第1ページが歌詞で、第2ページと3ページが見開きで旋律譜。その音符の下に数字譜と歌詞がふられています。『大阪朝日新聞』 大正15年7月8日 朝刊の1面 に掲載された旋律譜とほぼ同じ。紙面の関係で新聞掲載譜は縦長になっていますが、今回の印刷譜は見開き二頁になっています。別掲歌詞も新聞では縦書き、印刷譜では横書きです。
さて、第4ページを見ると、なんとそれは信時作品ではなく、山田耕筰作曲、齋藤龍作詞の「国際オリンピック大会派遣選手応援歌」が掲載されています。信時作品は楽譜等すべて活字(?)印刷されていますが、山田耕筰作品は手書きの旋律譜です。(耕筰の筆跡ではないと思われます) 『山田耕筰作品資料目録』を、このタイトルで引くと「→ 走れ大地を」とあり、当該ページに似たような印刷譜はありましたが、別資料のようです。
信時潔の曲は初出が大正15年ですが、山田耕筰の曲は、昭和7年頃の作品なので、同じ「朝日新聞社懸賞募集一等当選」の作品を一緒に印刷したものと思われます。
信時と山田の作品が一つに収まっている、という、非常に珍しい例です。
参考文献:
遠山音楽財団付属図書館編『山田耕筰作品資料目録』
http://opac.ndl.go.jp/recordid/000001741921/jpn
日本近代音楽財団日本近代音楽館編『山田耕筰年譜』
http://opac.ndl.go.jp/recordid/000007633062/jpn
http://noblogblog.blog.shinobi.jp/Entry/78/全国中等学校野球大会の歌
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