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の・ぶ・ろぐ   ・・・・・・・・・・  作曲家・信時潔の人と作品に関する最新ニュースや、日々思いついたことなどを書いています。
益子九郎編作曲「海ゆかば敷衍曲」は、おそらく

昭和18年(1943)5月22日
東京音楽学校第百回定期演奏会

が初演だと思われます。

合唱附管絃楽 
「海行かば」敷衍曲 益子九郎編作
指揮木下保
合唱東京音楽学校生徒
管絃楽東京音楽学校管絃楽部

その後、

昭和18年6月12日
山本元帥讃仰演奏会


昭和18年11月14日
東京音楽学校報国団第百五十回記念演奏会

昭和18年11月15日
出陣学徒壮行演奏会

と、計4回の演奏が確認できます。

この楽譜の所在を聞かれたことがあるのですが、スコアが残っていません。
芸大図書館にパート譜49部(手稿譜)が残っているのですが
 http://opac.lib.geidai.ac.jp/cgi-bin/opc/opaclinki.cgi?ncid=XB00046730
欠けているパートがあり、そのまま再演するのは難しい状況です。


参考:益子九郎についてはこちらにまとめています
http://home.netyou.jp/ff/nobu/page049.html




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私の本家ホームページの「雑記帳」でも、前に「海ゆかば」か?「海行かば」か? (2005.8.15) という記事を書いたことがあります。

その後見つけた資料が、国会図書館デジタルコレクションで直接閲覧できるようになったので
ご紹介します。

『邦人楽曲放送一覧. 第3冊(昭和5-17年)』日本放送協会業務局資料室 昭和18
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1125209/90
コマ番号90の左側 (冊子のページ付は170)の中央に、次のように書かれています。

信時潔:
海ゆかば (萬葉集大伴氏言立) (「海行かば」とせず)

この資料はもともと放送局の業務用の資料です。音楽図書館というものが、あまり意識されていなかった時代、音楽作品名のコントロールをいち早く意識した場で、音楽ライブラリアンの先輩が、このように書いていたことに感動を覚えます。


信時潔が作曲したのは「海ゆかば」の「旋律だけで伴奏は他人の手」とか、伴奏は「AK文芸部編曲」というような記事をいくつか見かけるので、そんなはずはない、と気になっていました。
信時潔は、確かに旋律を先に書き留めることはありますが、必ずピアノ伴奏をつけて作曲していることが、多くの自筆譜を見るとわかります。おそらくピアノを弾きながら書き進めていったのではないかと思います。放送局から委嘱をうけて、いくら急いでいてもピアノ伴奏なしで、旋律だけで渡すことは、まず考えられません。時事歌の類で、放送用のアレンジを他の方が担当している例はいくつかありますが、その場合もピアノ伴奏は自身で書いています。


 
藍川由美さんのこのCD『ほんとうの唱歌史「海ゆかば」~』 ライナーの表紙写真にも映っている楽譜『ラヂオ・テキスト 國民唱歌 第一輯』(写真の左側)に収録されている「海ゆかば」にヒントがありました。

『ラヂオ・テキスト 國民唱歌 第一輯』は日本放送出版協会、昭和13年2月28日発行。
楽譜キャプション(楽譜第1ページの見出し)は「大伴氏言立、信時潔作曲」と書かれています。


ところが楽譜末尾の別掲歌詞には「AK文芸部編曲」と書かれているのです。


楽譜を見比べると「信時潔作曲」と書かれた初版譜(教育資料会 昭和12年11月15日発行)と同じで、AK文芸部が新たなを編曲したものではない、と言ってよいでしょう。
信時潔作曲「海ゆかば」の成立、放送当時の事情については、竹山昭子著『太平洋戦争下 その時ラジオは』(朝日新聞出版 2013)に詳しくまとめられています。


この本のp.218-220の表で、初演は昭和12年10月13日午前8時台の「海ゆかば」と読み取れますが、番組確定表で確認したところ、この放送は中止になったらしく、その日の午後7時30分からの枠(実際は午後7時50分から53分。「洋楽放送記録」による)の「ヴォーカルフォア男声合唱団 伴奏AKアンサンブル」が初放送とみてよさそうです。(※このことは郡修彦著「昭和の『海行かば』」(CD「復刻盤 海ゆかば集」(二〇〇五海行かば集製作委員会企画・制作)解説)でも指摘されています)

この「伴奏AKアンサンブル」の伴奏編曲が「AK文芸部」だろうというのが私の考えです。室内楽、あるいは小管弦楽伴奏のようなアレンジをしたのではないでしょうか。

それを誤って「海ゆかば=信時潔作曲、AK文芸部編曲」とセットになって記録されてしまって、番組確定表や『ラヂオ・テキスト 国民唱歌 第一輯』などでは、信時潔自身によるピアノ伴奏版までも、そのように記載されてしまったのではないでしょうか。

ちなみに、上記の『ラヂオ・テキスト 國民唱歌 第一輯』より前に出版された下記の楽譜、信時自身が強く関わったであろう版には「AK文芸部編曲」の情報はありません。

『海ゆかば:(放送歌曲)』教育資料会 昭和12年11月15日発行(わかもと本舗栄養と育児の会が頒布、非売品)
『海行かば 独唱或は斉唱及単声三部合唱』共益商社書店 昭和13年1月17日発行(共益ボーカル楽譜 No.598)

『海行かば 独唱或は斉唱及混声四部合唱』共益商社書店 昭和13年1月17日発行(共益ボーカル楽譜 No.709)
  
  *藍川CD写真の中央にある「海行かば」は2つの共益版のどちらかと思われます。
 

 なお、『片山杜秀の本(2) 音盤博物誌』 で「信時はその[=海ゆかば]譜面をメロディしか書いていない。ピアノ伴奏は他人の手だ」と書いていらした片山杜秀先生に慶應義塾塾歌に関する座談会でお目にかかった折に、このようなことをお話ししたところ、「それは存じませんでした、AK文芸部編曲と書いてあったので」とのことでした。

                    ※2014年5月6日 14:45 一部修正しました



京都大学名誉教授の上田正昭先生が、日本と韓国の古代交流史について
執筆なさるにあたって、信時潔の肖像写真を使いたいという連絡をいただき、
先日、出来上がった本をお届けいただきました。

上田正昭著「古代の日本と百済の文化―善隣友好の象徴」の中の
「朝廷で活躍した百済人」の見出しの下に、
百済王敬福と「海ゆかば」のかかわりが書かれています。

 『メディア史研究』第33号(2013年3月発行)に、
竹山昭子著 「海ゆかば」の軌跡―「協調」から「決意」、「讃仰」、そして「鎮魂」へ―
が掲載されています。


朝日新聞 2012年12月23日(日曜日) (24面)

オーサー・ビジット2012 笑顔はじけた 
谷川俊太郎さん @石巻市相川小(宮城)  より    


石巻の小学校で 詩に親しむ授業 ・・・・

「初めて詩を作ったのは君たちぐらいの頃です。」

谷川さんは、5年生の時の詩「模型飛行機」を読み上げ、
東京大空襲の焼け跡を見て回ったこと、
「海ゆかば」の曲に 感動し音楽に心ひかれたことなど、
少年時代のエピソードを 織り交ぜ次々に詩を披露した。・・・・
2012年10月20日(土) 朝 朝日新聞be の「うたの旅人」で
「海ゆかば」が取り上げられています。

文は朝日新聞の牧村健一郎氏。

11月刊行予定の本「バッハに非ず――信時潔音楽随想集」(アルテスパブリッシング)

11月23日(祝)のコンサート「信時潔とその系譜」(津田ホール)

ホームページの信時潔作曲校歌一覧等についても取り上げています。

なお、11/23のコンサートプログラムには全作品表と、校歌・団体歌一覧を掲載する予定です。



古書店に「海ゆかば」の初版譜が出ているのを見つけました。
既に同じものを持っていましたが、信時家に残っていたものなので、
それは著作者分として入手したもの。一般に流布したものとは事情が違います。

どんな人が持っていたのか、なにかその様子は読み取れないかと期待して取り寄せてみました。

scan0038UMI.JPG
それが、これです。


前から気になっていたことがあります。

「日本近代音楽館」には、多くの作曲家、音楽家の文庫、コレクションがありましたが、この楽譜を持っている人は一人も居ませんでした。
このあとに発売された共益商社版は、いくつか所蔵がありました。

この初版譜は、奥付に「頒布の趣旨」が書かれています。「わかもと本舗栄養と育児の会」が組織した「教育資料会」が昭和12年11月に発行(非売品)し、全国の小学校に無料頒布したものです。

流布した目的、ルートが違うので、音楽専門家のところには届かなかったのでしょう。

それでは、どんな人が持っていたのか?

小学校で無料頒布した記録、などというのはあまり出てきそうにありません。

「わかもと本舗」は、いまもなお続く製薬会社ですので、会社の記録を調べていただいたこともあります。
いくつか「教育資料会」についての資料はありましたが、この「海ゆかば」の楽譜について、全国で何部を、どの学校に、どのようにして配ったのか、といった資料は見つかりませんでした。

そのようなわけで、当時の小学生として、この楽譜を受け取った人たちが居ないか、知りたかったのです。

届いた楽譜昭和12年発行、73年を経た楽譜にしては、汚れもシミも少なく、綺麗に保管されていたようです。

左側に二つ穴で綴じた跡があります。千枚通しで穴を開けて、お気に入りの楽譜を束ねていたのでしょうか。
そのほかには、書き込みなど、持っていた人の何かが伝わってくるような事は見つけられませんでした。
綴じて保管していたというのは、持ち主は楽譜にこだわりのある方だったのでしょう。

昭和12年にこの楽譜を入手し、あの時代を通り抜け、終戦を迎え・・・これを持っていた人はどんな暮らしをしていたのでしょう。この楽譜はここに至るまで、どんな所を通ってきたのでしょうか・・・・

当時の小学生として、この楽譜を持っていたという人、記録がどこかに無いか、引き続き探してみたいと思っています。(資料そのものではなく、情報を求めています。)











9月22日(火)、NHK教育テレビの「日めくり万葉集」という番組に篠田正浩監督が出演されます。
NHK 日めくり万葉集 Vol.9 (講談社MOOK)によれば、大伴家持の長歌と「海行かば」、そして信時潔作曲の「海ゆかば」にまつわる篠田監督の思いが語られるようです。

放送時間は22日(火)の朝5:00から5:05。日曜の朝6時から6時25分に、一週間分まとめて再放送があるようです。 このほかにBSハイビジョンでも放送されるようですので、NHKのサイトhttp://www.nhk.or.jp/manyoushuu/などでご確認ください。

テキスト(下記冊子)には、4ページにわたって、この歌の解説と篠田監督の言葉が掲載されています。

 

*-*-*-*-*
CD『SP音源復刻盤 信時潔作品集成
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企画・構成・復刻:郡 修彦
構成・解説:信時裕子
CD6枚組、別冊解説書
(B5変形判 全144頁)
15,750円(税抜15,000円)
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