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の・ぶ・ろぐ   ・・・・・・・・・・  作曲家・信時潔の人と作品に関する最新ニュースや、日々思いついたことなどを書いています。
共益商社書店の「戦時特別品」と書かれた五線紙があります。

普通に考えれば、「戦時特別品」の「戦時」とは、いわゆる太平洋戦争でしょう。

ところが、この五線紙が使われた時期が、あまり定かでないものが多く、気になっていました。

たとえばおそらく留学中(1920-1922)の作品であろう「絃楽四部合奏」の浄書譜が

この用紙に書かれていて、その時期になぜ浄書しているのか?書き溜めたものを

その時期に浄書始めただけのか?

ちょっと疑問に思っていたところ、某サイトに、戦時とは日露戦争か?、という質問が出ていたので、この「戦時特別品」五線紙が、明治、大正時代のものである可能性もあるのか?!、と気になって調べてみました。

たとえば信時潔の「絃楽四部合奏」のスコア、パートの浄書譜(妻ミイによる浄書)の場合

五線紙には

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(戦時特別品) THE KYOYEKISHOSHA Publishers & Book-Salers, Shiba, Tokyo.

東京芝三田松本町四十四番地 合資会社 共益商社書店

大賣捌所 東京新橋 共益商社

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と印刷されています。 (※注1)

共益商社、共益商社書店については、赤井励著「オルガンの文化史」(青弓社 1995) の

「島崎赤太郎の一生」の項に詳しく書かれています。

共益商社創業者の白井練一(1846-1924)の四女、元(もと 1885-1973)は、島崎赤太郎夫人だそうです。

この情報をもとに、国会図書館デジタル化資料にある共益商社、および共益商社書店等の 名称と所在地を確認してみました。

1 明治17 1884年 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/764836/16 東京芝区宮本町二十九番地 共益商社

2 明治36 1903年 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/843750/68 京橋区竹川町十三番地 共益商社

3 明治40 1907年 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/854810/45 東京市京橋区竹川町十三番地 合資会社 共益商社楽器店

4 明治41 1908年 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/902580/31 東京市京橋区竹川町十三番地 合資会社 共益商社楽器店

5 明治44 1910年 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/854747/54 東京市芝区芝公園十八号地五番 合資会社 共益商社書店

6 大正7 1918年 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/980407/90 東京市芝区松本町四十四番地 合資会社 共益商社書店

7 大正8 1919年 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2954189/16 京橋区竹川町 共益商社 ※官報. 1919年07月07日 楽器の広告

8 大正13 1924年 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/925798/47 東京市芝区松本町四十四番地 共益商社書店

9 昭和13 1938年 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1461652/154 東京市芝区松本町四十四番地 共益商社書店

つまり、楽器店になった系統の「共益商社」又は「共益商社楽器店」(京橋区竹川町。現在のヤマハ銀座店)【楽器販売系】と、

元は教科書会社で、オルガン普及を手掛けたこともあるが、その楽器部が独立(実際はヤマハが買収)した後も出版事業を継続した「共益商社書店」(芝・松本町)【楽譜出版系】の二つの系統があったようです。

とすると、「絃楽四部合奏」の「戦時特別品」五線紙の場合、

芝松本町の「共益商社書店」 は【楽譜出版系】

大賣捌所 東京新橋 共益商社 は【楽器販売系】

ということなのかもしれません。

今回見た国会図書館デジタル化資料では、「大賣捌所」として新橋・共益商社の名が挙がっているものを見つけることができませんでした。

「戦時」は、日清日露戦争などではなく、いわゆる太平洋戦争の「戦時」と考えてよさそうだというのが今日の結論。(→後日談ありますhttp://noblogblog.blog.shinobi.jp/Entry/125/

たぶん「戦時」期の『音楽年鑑』(国会図書館デジタル化資料に昭和16年版あり。ほかに復刻版も出版されている)などで、楽器店、楽譜出版社などを調べていくと、もう少し詳しく確認できるでしょう。

また、信時潔資料でどのような五線紙を使っているのか、もう少し調査が進むと別の例も出てくるかもしれません。

 
  この記事の続報 → http://noblogblog.blog.shinobi.jp/Entry/161/



















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CD『SP音源復刻盤 信時潔作品集成
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企画・構成・復刻:郡 修彦
構成・解説:信時裕子
CD6枚組、別冊解説書
(B5変形判 全144頁)
15,750円(税抜15,000円)
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