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の・ぶ・ろぐ   ・・・・・・・・・・  作曲家・信時潔の人と作品に関する最新ニュースや、日々思いついたことなどを書いています。
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芸術祭賞贈呈式では、「贈賞理由」が書かれたパンフレットが配られます。

レコード部門 の芸術祭大賞
財団法人日本伝統文化振興財団
SP音源復刻盤信時潔作品集成 の贈賞理由は、
次のように書かれていました。

信時潔(1887-1965)は合唱曲「海行かば」や独唱曲「沙羅」によって日本作曲界の創成期に大きな足跡を残した。このたびの作品集成は、企画構成、SP復刻技術、データと解説など、いずれも適正かつ充実した内容となっている。また橋本國彦のヴァイオリン独奏や木下保の独唱など、日本近代演奏史の資料としても高く評価された。


なお、同部門の審査員は、次の方々でした。
香取良彦 加納マリ 蒲生郷昭 小鍛冶邦隆 長木誠司 月渓恒子 三宅幸夫
(敬称略)
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CD『SP音源復刻盤 信時潔作品選集』 は、平成20年度(第63回)芸術祭・レコード部門の大賞を受賞しました。 1月28日午後、贈呈式と祝賀会が行われました。

贈呈式会場では、受賞理由も読み上げられ、うれしいひと時でした。

P1010611web.JPG
プロデューサー、ディレクター、マスタリングエンジニア、企画、構成、解説デザイン・編集まで、関係者が一堂に顔を合わせるのは、実は初めてのことでした。
 
『SP音源復刻盤 信時潔作品集成』のDISC 1-01 DISC6-03 に収められている『花すみれ』については、本当にエピソードがたくさんあり、CD添付の解説書にも一通り書いたほか、こちらでもhttp://noblogblog.blog.shinobi.jp/Entry/9/ に書いてます。

話が複雑になるので、CDの解説書には載せませんでしたが
ほかに、偶然にもインターネットオークションサイトで見つけた信時潔作曲「花すみれ」の楽譜がありました。
それが、 大阪府立八尾高等女学校校歌 (非売品 東京 桑文社納)です。

表紙の「題字」は ここ http://noblogblog.blog.shinobi.jp/Entry/9/ に載せた楽譜の「花すミれ」(セノオ音楽出版社 大正13年)と同じです。
紙が劣化・変色しているので、当時のままとは言いがたいですが地色は「すみれいろ」。すみれの写真が載っているところが洒落ています。

裏表紙に
「花すみれ」の御歌   御歌所寄人 坂正臣謹述 
が載せられているのも、セノオ版と同じです。

ページを開くと、額装したような歌詞の写真版の冒頭に「皇太后宮御歌」とあり、
楽譜には、「東京音楽学校教授 信時潔謹曲」とありました。
印刷刊行年は書かれていないのですが
大阪府立山本高等学校(旧 大阪府立八尾高等女学校) 同窓会のホームページ やますみれWeb
http://www.yamasumire.jp/school-history.html
には、「1927年(昭和 2年) 大阪府立八尾高等女学校と改称」とあるので、昭和の時代に入ってからの印刷です。

YaoHanasumireWEb.JPG
女学校の校歌として、皇后陛下、皇太后陛下御歌「花すみれ」が使われた例は、ほかにもあるようですが、詳細は確認していません。
 ご存知の方、情報をお寄せいただけるとありがたいです。
今回のCD『SP音源復刻盤 信時潔作品選集』 は、曲番号トラック番号の両方があることが、少々わかりづらく、時には、番号が間違ってる?などと思われる方もあるようですが、理由あって併用しているのでどうぞご了解ください。

この呼び方が必ずしも正しいとはいえないのですが、「曲番号」と「トラック番号」があるとお考えください。

例えば、解説書の p.53 を見てみますと

DISC 2-19 桜花の歌

 30  いにしへの(合唱) 
 31  いかにせん(合唱)
 32  吹く風を(合唱)
   ↑ 実際はこのアンダーラインの数字のところは四角囲み文字になっています。

 
とありまして、このDISC2-19 が曲番号。 30 31 32 が、それぞれトラック番号です。

曲番号は、主に、解説書の中で、一つの単位として扱うものです。
組曲、楽章のある大規模作品(「海道東征」)など。
同じSP盤に入った同一曲の別編成も、これに準じています。
特別なものとしては、「新訂尋常小学唱歌」「新訂高等小学唱歌」は、
それぞれ一つのまとまりと考えました。

トラック番号は、CDをかける時にも表示される番号、区切りの信号が入るまでの単位で、大規模な作品の楽章や、組曲の各曲、唱歌も一曲づつ、1トラックとして扱っています。

たとえば、「海道東征」の場合は、DISC-6 の トラック 1 から トラック 8 となるわけです。

鑑賞するためのCDというだけでなく、研究資料として、「学ぶ」「調べるため」にも使えるように、曲同士の参照や、演奏家の説明、参照を入れたかったので、トラック単位では扱いづらく、曲番号を併用しました。

解説書p.7~12の収録曲一覧、小口(こぐち=開く部分)のDISC番号インデックスなど、どうぞご活用ください。


昨日、このたびリニューアルされた木下記念スタジオ(@代々木上原)にお邪魔して、
同スタジオ所蔵の信時潔関係資料を拝見させていただきました。

そのなかに、今回収録したレコードで歌われているのに、歌詞カードが見つからず、
自筆譜はもちろん、今まで確認された出版譜、印刷譜に載っていないため
聴き取りだけでは掲載できなかった「大島節」の3番の歌詞が見つかりました。

DISC1-04 解説書のp.19の歌詞は、一番から次の通りとなります。
ただし、見つかった楽譜中にはひらがなで書き込まれていましたので
漢字表記は私の判断によるものです。

あー 
私しや大島
御神火(ごじんか)育ちよ
胸に煙りがよ
絶えやせぬ

あー
躑躅(つつじ)椿は
お山を照らすよ
殿のお船はよ
灘(なだ)照らす

あー
別れつらくも
帆を巻く朝はよ
涙ながすなよ
波が立つ


 なお、見つかった印刷譜は「日本放送協会」の名が入ったもので、印刷年の表示は無し。
 2種みつかったもの両方に、3番の歌詞がペン、鉛筆で書き込まれています。
 今回のCDに収録されている木下保指揮「大島節」のレコードは昭和11年7月17日録音。
 ほかに、 昭和16年7月10日に、木下保指揮・東京交声楽団の演奏が放送された記録が
  あります。
 

ほかではあまり書かれていないことなので、ここに書き留めておきます。

雑誌『音楽教育』の5巻4号(1943年4月号)に、白井保男著「我国楽譜印刷の過程」という記事(p.48~52)があります。著者は共益商社書店社長。明治14年の『小学唱歌集』初編に始まる木版印刷時代から、楽譜版下の誕生、セラチン凸版時代、石版時代及び亜鉛凸版時代、オフセット時代と現在(=昭和18年)までの概要が書かれています。
その最後に、ドイツ(リヒャルト・シュトラウス)、イタリア(ピッツェッティ)、フランス(イベール)、ハンガリー(ヴェレッシュ)各国から寄せられた紀元二千六百年奉祝楽曲のオーケストラスコア「全4冊 総頁550ページといふ膨大なもの」と共に、「近く刊行されます信時潔氏の「海道東征」スコア150頁」は、「近代の我国楽譜印刷の精華を証左するものでありましょう。」とあります。
確かに、日本人の作曲家の、演奏時間一時間にも及ぶオーケストラ・スコアは、ほかにあまり例が無く、7枚組みSPレコードと同様、印刷楽譜としても、画期的なものであったのかもしれません。
「海道東征」の、ピアノ・ヴォーカルスコアは、昭和15年11月の初演以前の8月(おそらく合唱団の練習開始の頃)に発行され、翌年6月再版。管絃楽総譜(フルスコア)は昭和18年10月に発行されています。

團伊玖磨さんと信時潔は、直接師弟関係はありませんでしたが、團さんの書かれたものにいくつか信時潔が登場していて、その文章からは、團さんの思いが伝わってきます。

DISC-1 の「紀の国の歌」の解説では、パイプのけむりシリーズの中の、この曲に関する部分を紹介しています。 この記事を見つけることができたのは、早崎日出太さんによる 團伊玖磨全仕事 というサイトのおかげです。  なかでも パイプのけむり のページの右下に、「パイプのけむり辞書」の入り口があって、なんとすばらしいことに、人名などで検索ができるのです。團さんが、信時潔との関わりを、何かお書きになっているだろうと思っていたものの、同シリーズ全27巻に目を通すことはできずにいました。この「辞書」で探して、収録されている書名を調べ、書店や、近くの図書館で確認できないものは、近代文学館まで行って閲覧したものもあります。
このサイトの徹底した仕事ぶりには「敬服」のひとこと。個人研究サイトとしても、とても参考になります。

團さんの『好きな歌・嫌いな歌』という本には「海ゆかば」について書いた章があります。
http://www.tasc.or.jp/~pipedan/other/newpage13sukinautakirainauta-bunko.bak

また、『私の日本音楽史―異文化との出会い 』(NHKライブラリー 1999)という本があるのですが、これは、NHKの人間大学「日本人と西洋音楽」(1997年放送)で放送したものを、のちにまとめたものです。
http://www.tasc.or.jp/~pipedan/other/newpage47.htm
  ↑ このページ ↑ に書かれている「この(放送)内容は、簡略化しているのでちゃんとしたものを書きたいとおっしゃっていた」という、簡略化されて載せられなかった内容のひとつが「信時潔」だったようです。放送当時は、ほとんど触れられていませんでしたが、NHKライブラリーの本になった時に、書き加えられました。 

今回の作品集成、タイトル冒頭に「SP音源復刻盤」という語を付けました。
信時潔作品全集 などと銘打つには、偏りがあり、SP音源があるものだけを対象としています。

最近は、SPどころか、LPレコードでさえ、「どうやってかけるんですか?」という学生さんも多かったりします。(レコード針を置く、ということを経験したことがないわけで、レコードをかけるのも、大変です)

SPレコードとは、・・・と説明できるほど詳しくないのでここでは省略しますが、ネット上にも様々な説明、様々な情報があります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/SP%E3%83%AC%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%89

今回復刻にもご協力いただいている「昭和館」には、SPレコードのコレクションがあり、一般にも公開されています。その所蔵目録は昭和館監修『SPレコード60,000曲総目録』(アテネ書房 2003)として刊行され、館内で聴くことができるレコードは、WEBからも確認することができます。http://www.showakan.go.jp/ の「映像・音響室」から「検索広場へ行こう」へと進むと、下のほうに「レコード目録を見よう」があります。ただし、WEB上では曲名からの検索のみで作曲者の表示もなし。演奏者、作曲者、レコード番号などからの検索は、上述の「総目録」が役立ちます。 2008年7月現在、昭和館で聴くことができる曲数は約10,000曲だそうです。

ほかに、ネット上では、昭和歌謡大全 というサイトに、レコード番号や発売日の確認のために、たびたびお世話になりました。85歳になられる方が計20,000曲分のデータを入力されたとか。有難いことです。
http://www005.upp.so-net.ne.jp/tsukakoshi/kayoudaizenn/kayoudaizenn.html

(ただし『信時潔作品集成』の解説に記載されている信時作品SPレコーのド録音・発売日等の情報は、郡修彦氏の調査によるものです)



DISC4-06 (Track 34) に収録されている「野球大会の歌」。
これは、断片的な情報はあったものの、資料探しに苦労した作品のひとつです。

解説書p.75に載せた楽譜は、信時潔の楽譜帳に新聞か雑誌の切抜きを貼ったもの(裏面に別の記事あり)で、掲載紙(誌)が何かわかりません。ずいぶん調べたのですが、結局わかりませんでした。
この大会は大阪朝日新聞社主催。野球大会の歌の旋律譜は、大阪では7月8日(朝刊)に掲載されていますが、東京朝日新聞には掲載されなかったようです。

前に、 このような資料探しの仕事は遺跡発掘に似ている、 と書いたことがあるのですが、「発掘」して一番うれしかったのは、p.76に載せた初演当時の写真です。(とくに、ほかより大きく載せました)

朝日新聞社の全国高等学校野球選手権大会の年史は、今までに数種類出ていますが、最近のものには大会開始の頃の事情については、あまり詳しく書かれていません。
ようやく都立図書館で探し当てたのが「全国中等学校野球大会史」(大阪 朝日新聞社 1929)。
ページ付けもない写真のページが続く中に、それはありました。コーラスも、軍楽隊もしっかり写っています。

アサヒコーラスについても、最初は事情がわからず、いろいろな資料を照らし合わせ、また昔の事を知っているという方から聞き合わせて、ようやくわかってきたので、今回収録の演奏団体ではありませんが、少し詳しく書き留めておきました。

CD『SP音源復刻盤 信時潔作品集成』に収録された「花すみれ」(貞明皇后御歌)は、最初は女子学習院の歌として作られました。

その後、女子学習院の曲は作り替えられて、別の旋律となっています。それが「はなすみれ」 (すべて、ひらがなで表記します)

この曲は、学習院校友会サイトで聴く事ができます。
   https://oukai.etc.gakushuin.ac.jp/song/sumire.htm 

女子学習院という名の学校はなくなりましたが、今も学習院女子中等科・女子高等科の音楽の授業では、ゆかりの曲として「はなすみれ」をとりあげているそうです。(ということは、たぶん愛子さまも歌われるのでしょう)

ちなみに、学習院大学開設二年を記念して、昭和26年に作られた「学習院院歌」(安倍能成作詞)も信時潔作曲です。
  https://oukai.etc.gakushuin.ac.jp/song/inka.htm

さて、最初に作られた「花すみれ」は、女子学習院で使わなくなって、一般のレコードになったのですから、払い下げというか、リサイクルというか。したたかなのか、歌の魅力なのか、はたまた女学生の心を捕らえたのか、とその頃の経緯を知りたくなります。

初版のセノオ楽譜(前回の記事に写真あり)が大正13年5月発行。浅草オペラの名歌や「宵待草」を竹久夢二の表紙絵で売り出したほか大正末から昭和初年にかけて多くのピース楽譜を出していたセノオ楽譜です。皇后陛下の御歌を女学生の愛唱歌にというセノオ楽譜のもくろみもあったのではないかと思います。

山田耕筰作曲の「花すみれの御歌」もセノオ楽譜で、独唱曲が大正15年にでています。二部合唱、三部合唱も山田耕筰作曲として、セノオ楽譜から出版されていますが、実は旋律は・・・という不思議な話は、解説p.16に書いた通りです。

信時の「花すみれ」「はなすみれ」と、山田耕筰の「花すみれの御歌」の聴き比べコンサートというのも、面白いかもしれません。
 

 

『SP音源復刻盤 信時潔作品集成』の、DISC-1の冒頭と、DISC-6にも入っている「花すみれ」については、これまで詳しいことを調べたことがなく、今回の準備のために調べれば調べるほどいろいろなことがわかりました。この曲だけ長く書くわけにもいかず、添付の解説書では、かなり短くまとめましたが、詳しく書けばひとつの論文がかけるほどではないかと思います。 なぜ、二種の「花すみれ」「はなすみれ」があるのか?山田耕筰の「花すみれの御歌」との関係・・・etc。

今回の解説書はモノクロなので、カラーが出なくて残念でしたが、hanasumire1forWEB.JPG
p.17の唱歌『花すミれ』の表紙は、右のように紫と白とピンクという彩りの、
そんなお菓子がどこかにあったと思い出させるような色合いです。
どう云うわけか、この初版譜は、信時家に残っていないのですが、最近、偶然入手しました。

この曲は、ピースのほかにもいくつかの合唱曲集にも収録され、大正~昭和初年の女学生に愛唱されたようです。

このCD『SP音源復刻盤 信時潔作品集成』 は、最初は7月末に発売される予定で、発売情報が一旦流れましたが、諸般の事情で延期となり、ついに11月19日に発売になりました。

実は、延期されたおかげで、加えることが出来た、「最後の一枚」のSPレコードがありました。

DISC4 の 東北民謡集 の二枚のSPのうちの、ポリドールS-2017でした。
ポリドールS-2016は、作曲者の遺品の中に残っていましたが、レコードの袋やカードはありません。
当時のポリドールのカタログの所在がわからず、詳細を確認することができずにいました。

どのような形で企画、発売されたのかは、当時のレコード評を見るしかなかったのですが、どうも信時作品が二枚あったらしいということがわかってきました。
SPレコードは、どこかに残っているのか、いないのか?それとも、レコード評の書き方が曖昧で、情報の読み取り方を間違えているのか?

そして、郡修彦氏の執念の探索の結果、ついに、最初の発売予定日を過ぎた8月になって、幻の 「ポリドール S-2017」が見つかったのです。

東北民謡集は、花岡千春先生が、CD『花林/雨の道』に録音しています。その時も、作曲当時の音を参考にしたいということで探していたのです。(残っている楽譜には書き込みも多く完全な形で残っていないため、作曲者の目が通った初演時の楽譜、および録音を探しましたが当時は入手できませんでした。)

録音も別冊解説書も、もうほとんど仕上がっていたのですが、この機会をのがしては、録音・復刻のチャンスはないかもしれない、ということで、ついに追加収録されることになったのでした。

昨日のラジオ歌謡に続いて、今日は国民歌謡について、書きます。B226-hyoshi-WEB.JPG

ラジオ歌謡は戦後スタートしたものですが、その前身というべきものが「国民
歌謡」~「われらのうた」や「国民合唱」として放送・発表されたものです。

信時潔の作品で、「国民歌謡」として「出版された」楽譜は

国民歌謡 第37輯 国に誓ふ ☆
国民歌謡 第50輯 興亜奉公の歌 ☆
国民歌謡 第61輯 新政讃頌
国民歌謡 第66輯 蘭花の頌(満州国皇帝陛下奉迎歌)

それから、当時作曲者は公表されていませんでしたが
国民歌謡 第56輯 紀元二千六百年頌歌 ☆
(☆印は、『SP音源復刻盤 信時潔作品集成』 に収録)

また、出版譜は、国民歌謡のシリーズとしては出ませんでしたが、
「海ゆかば」も国民歌謡の時間帯に放送されたようです。

国民歌謡から、昨日話題にしたラジオ歌謡までをとりあげた、立派なCD全集が出ていて、
ことに別冊解説書の資料的価値は高く、今までの調査で、ずいぶん利用させていただきました。

国民歌謡ラジオ歌謡大全集
コロムビアファミリークラブ
CD10枚組・全200曲
◎全曲歌詩掲載の別冊解説書つき ◎特製ケース入り
◎制作/コロムビアミュージックエンタテインメント(株)
販売価格:25,200円(税込)
 

そのほかに「国民歌謡~われらのうた」を取り上げた、以下のようなCDも出ています。

 

土岐善麿作詩、信時潔作曲「われらの日本」の、初演当時使われた楽譜が、見つかりません。
どなたかお持ちの方は、いらっしゃいませんか?

1947年5月3日、宮城前の広場の憲法施行記念式典で、この曲を歌ったのは東京音楽学校、武蔵野音楽学校、国立音楽学校の生徒350名だったようですが、その楽譜が保存されていないのです。

当時のことですから、全国すべてではないにしても、小・中学校で歌ったり楽譜が配られたり、ということもあったはずです。けれども、音楽学校や役所の書類としては最初の印刷譜が残っていないようなのです。(二次資料は確認済)

「われらの日本」のSPレコードの反対側の面には、中山晋平の「憲法音頭」が録音されています。
これについては、入念な調査の結果が一冊の本となっています。
 和田登著 『踊りおどろか「憲法音頭」―その消えた謎の戦後』 (本の泉社 2006)

記念式典の後、5月8日から、憲法普及会制定「われらの日本」が、『ラジオ歌謡』として放送されています。演奏者は酒井弘、東京放送合唱団。
なお、ラジオ歌謡については、最近「ラジオ歌謡研究会」が熱心に調査・研究、普及活動をされているようで、同会の研究誌『ラジオ歌謡研究』は2007年創刊。同会会長・工藤雄一編の楽譜『思い出のラジオ歌謡選曲集』 (全音楽譜出版社)も発行されています。
2年半という時間をかけてようやく送り出したCDが発売となっても、目の前で売れていくわけではないのでなんとなく、実感がありません。なので、Amazon の サイトを見て「在庫何点」とかAmazon.co.jp ランキング: 音楽で9,482位(本日現在)なんていうのを見てささやかな励みにしております...(笑)....

ところで、そのAmazonサイトで見てあらためてびっくりしたのは「収録時間: 430 分」というもの。なるほど、CDをお届けしたご協力者の皆様から、「まだ聴いてませんが、ありがとう」といわれるのも仕方ない。私は仕事なので、何ヶ月もかけて(主に往復の通勤電車の中で!)各曲を何度も聴きましたが、普通は一気にそんなに聴けませんね(納得。)

さて、その430分の最後に、新憲法施行記念国民歌「われらの日本」を配したのは、私のこだわりです。
代表作といわれている「海道東征」や「海ゆかば」を最後に、という意見もありましたが、是非そうしたいという私の意見を入れてもらいました。

ひとつには、「戦後一切作品を発表しなかった」という一般に流布している説と、事実は違うということを押さえておきたかった。もちろん、あの戦争が終わった時、複雑な「想い」はいろいろあったでしょう。だからといって、作品を発表しないとか、そのような単純な形をとるような人ではなかった。戦後は新しい世代を応援し、その活躍を見守りながらも、頼まれた仕事では、嘘のない自分の音楽を書いていたのではないかと思います。

最近「海ゆかば」「海道東征」だけで語られている感のある信時潔は、一方で新憲法施行記念国民歌「われらの日本」の信時潔だった-----そこで、何か気づいてくださる方もあるかという想いもありました。

(つづく)

続いて『SP音源復刻盤 信時潔作品集成』 の外側の話。
中に入ってる各CDのケース内のカード(インレイカードと言うそうです)のデザインについて。
これも奥付に書きましたが。

共益商社書店の初版譜のイメージから作りました。
渋めの地色に、タイトル部分は白抜き。それだけ。・・・・というこのシンプルさ。

今となってはその事情を確かめることは出来ませんが。
私は信時潔という人の趣味だろうと直感しました。

遺作の「女人和歌連曲」の出版譜は没後に作られたもので、鮮やかな赤に近い橙色。
本人が関わらなかったこの例などと比べると、尚更そんな気がしてきます。

共益商社書店は昭和10年前後の出版譜ですから、いくら状態の良い物でも
幾分の色あせはあって、本当はどんな色だったのか、わかりません。

また、インレイカードにするにあたって、出来るだけ近い色を選んだつもりですが、
印刷時の色の出具合も難しいもので。

DISC-1 から DISC-6まで、それぞれ
桜花の歌、鶯の卵より、独楽吟、沙羅、紀の国の歌、やまとには
の色を使っています。

桜花の歌は当然「さくら色」。鶯の卵よりは「うぐいす色」。沙羅は渋い「藍色」。
独楽吟は日本の伝統的な「むらさき色」。紀の国の歌と、やまとにははそれぞれ緑色ですが、
微妙にトーンが違っています。

カラー写真でも、なかなかこれらの色は表現できません。

新響社の出版譜も、並べてみると、いかにもシンプルで「信時潔らしい」と思えます。

いつかどこかで、初版譜の実物をごらんになる機会がありましたら、思い出してください。


まずはじめに、『SP音源復刻盤 信時潔作品集成』 外側の話から。

外箱デザインは、解説書の奥付にも書いたとおり、解説担当者が個人的に持っているbox-for-web.JPG作曲者信時潔の遺品からデザインしています。 ナントカ織りという名前もあるのでしょうけど、特別ないわれがあるようなものではない、 ほんとうにごく普通の着物です。

昔の人は日常に着物を着ていたものです。
私の父も、その父=つまり信時潔の形見分けにもらったらしい着物なども着ていた時期がありました。外出用ではありませんでしたが、お風呂上りなんかに、ちょっと引っ掛ける感じで。
昭和40年代も後半になってからは、父も着物を着なくなりました。
着物のおじいちゃん=信時潔のイメージがあるのは、本当の記憶なのか、写真などであとから記憶されたものか、わからないのですが。

ごく普通、普通過ぎるほど普通の。ぜんぜん気取らない感じが出ればそれでいいかなと思って、着物の柄から外箱デザインをしてもらいました。箱のデザインは通称お弁当箱スタイルというそうで、発売元の財団がしばしば使用する得意のスタイルです。コンパクトにまとまるし、本棚に置いてもいいかもしれない、と思ってこれにしてみました。

外箱の表にある題字の「信時潔」は、本人のサインによるものです。わりとよそ行きに書いたもので、日常の筆跡とは違う感じです。

 当面は、このたび発売されたCD『SP音源復刻盤 信時潔作品集成』の編集・制作の裏話などを思いつくままに。そのほか周辺雑記を書いていきます。気楽におつきあいください。
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*-*-*-*-*
CD『SP音源復刻盤 信時潔作品集成
tenkai-web.jpg






企画・構成・復刻:郡 修彦
構成・解説:信時裕子
CD6枚組、別冊解説書
(B5変形判 全144頁)
15,750円(税抜15,000円)
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