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「海道東征」初演や、レコード録音に参加した上野児童音楽学園については、たびたび書いてきました。
CD『SP音源復刻盤 信時潔作品集成』 の解説書p.121の「上野児童音楽学園」の項は、『東京芸術大学百年史 東京音楽学校篇 第2巻』(音楽之友社 2003)p.1069~1122 と、 『洋楽放送70年史 1925-1995』(洋楽放送70年史プロジェクト 1997) p.35 および当時の『音楽年鑑』を参考にしました。
この秋、東京藝術大学の広報誌『藝大通信』19号(2009 September)に、
上野の杜の波瀾万丈 第八回 上野児童音楽学園/橋本久美子著
が掲載され、上野児童音楽学園について、詳しく、わかりやすく説明されています。
とくに、今回は永く芸大百年史のお仕事をされてきた、橋本久美子さん(東京藝術大学音楽学部講師)が、学内の資料を丹念に調べ、また当時を知る方にインタビューした結果がふんだんに盛り込まれています。児童音楽学園で教鞭をとった講師や、児童合唱で非常に好評を得たこと、そしてなによりも、児童音楽学園から、東京音楽学校に入り、その後の日本の音楽界をリードしていった人々の名前がたくさんあがっています。
この広報誌は東京藝術大学内で配布されますが、いずれは下記サイトでも、その全文が公開されるはずです。
http://www.geidai.ac.jp/guide/issue/geidaimsg/index.html
CD『SP音源復刻盤 信時潔作品集成』 解説書(初刷) の正誤表(追加訂正一覧)ができました。
CD発売当初(2008年11月)から2009年2月頃に発売されたものをお持ちの場合は、下記アドレスに掲載している「正誤表(追加訂正一覧)」をご確認ください。
正誤表(追加訂正一覧)
CD『SP音源復刻盤 信時潔作品集成』 Disc 1-17に収録されている「皇后陛下御誕辰奉祝歌」の解説では、1941年(昭和16)の『音楽教育研究』という雑誌に掲載された佐佐木信綱著「皇后陛下御誕辰奉祝歌に就いて」と、信時潔著「皇后陛下御誕辰奉祝歌の作曲に就いて」を紹介しました。
実はこれは、益子九郎旧蔵資料の中から見つかった雑誌でした。(益子九郎についてはhttp://home.netyou.jp//ff/nobu/page049.htmlに詳しく書きました)
『音楽教育研究』とその改題後の『音楽教育』は、昭和14年10月の創刊から昭和18年5月の終刊まで、全42冊刊行されていますが、益子旧蔵資料には22冊が含まれていました。
まず最初にこの「皇后陛下御誕辰奉祝歌」について、ほかには載っていないほど詳しい情報が載っていることで、この雑誌が気にかかり始めました。
それから、信時潔が編纂に関わった新訂尋常小学唱歌、新訂高等小学唱歌の指導についての連載があること。もちろん信時自身は指導のことまで、具体的に関わってはいなかったと思いますが、作者、編纂者の意図するところは・・・ということから書かれているように思えました。
さらに、各冊の執筆者をみていくと、片山頴太郎、益子九郎をはじめ、信時門下の人々をはじめとして、比較的親しく行き来した人々、すなわち下総皖一、渡(のち夏目)鏡子、柏木俊夫、長谷川良夫、澤崎定之、宮内(のち瀧崎)鎭代子といった人たちが目につきました。 決して、信時潔が『音楽教育研究』の主幹とかアドバイザーだとか、そういう立場にあったわけではないのですが、何か、「信時潔の人脈が動いている」という予感がありました。
しかも、この雑誌について言及した資料が、今までほとんどないことも気にかかりました。確かに存在した雑誌、しかも雑誌の統廃合の折は、ほかの音楽教育関係雑誌が廃刊となって、こちらが残ったという雑誌なのに、今までの音楽教育史にほとんど現れて来ていないようなのです。
以上のようなことから、『音楽教育研究』『音楽教育』の総目次を作ってみることを思い立ち、CD『信時潔作品集成』解説書の校正の合間に作業をすすめました。幸い全冊の所在が判明して、目次と各記事のページを確認することができました。
思わぬ収穫----今まで見つけることができなかった信時潔関係記事も見つけました。
ことに、第5巻第3号(昭和18年3月号 編集後記によれば信時潔の朝日賞受賞を機に組まれた特集らしい)「特輯 信時潔氏を語る」に、颯田琴次、太田恒子、下總皖一、夏目(渡)鏡子、片山頴太郎が寄せた記事が載っていたのは新発見で、興味深い内容でした。
この「総目次」は、近日発行予定の『文献探索2008』(金沢文圃閣)に掲載されます。
なお、掲載記事に索引をつけることができなかったため、PDFファイル内の検索ができるように、
ウェブサイトにPDF版(「まえがき・あとがき」「総目次」の二つのファイル)をアップしましたので、
ご利用ください。
ウェブサイト「信時潔研究ガイド」 の 雑記帳のページ no.19 に、「昭和戦前期『音楽教育研究』『音楽教育』総目次」を掲載しています。
CD『SP音源復刻盤 信時潔作品集成』 の企画・構成・復刻を担当した郡修彦氏が、隔月刊『SPレコード誌』第10巻第1号(通算91号)=2009年2月20日発行=に、「『海ゆかば』信時潔の作品集成 昭和戦前期のSPを復刻CD化」を、寄稿しています。(p.22~35)
郡氏が企画を持ち込み、全面的に協力して完成されたこのCDの制作裏話と併せて、郡氏と信時作品の因縁も綴られています。
CD添付の解説書では、ドライに表示されたデータも、それが判明するまでの入念な調査に裏付けられたものであることがわかります。音源入手の苦労や、技術的なことのほか、解説書には書けなかった裏話も盛り込まれ、ちらし(表紙)と DISC 1~6 の曲名(&演奏者)一覧も掲載、CDを聴きながらこれを読めば一層楽しめることでしょう。
掲載誌の詳細と、連絡先は下記の通りです。
『SPレコード誌』第10巻第1号(通算91号)
2009年2月20日発行
編集・発行 アナログ・ルネッサンス・クラブ (電話・FAX 042-207-8872)
定価2,600円 送料400円
昨日、このたびリニューアルされた木下記念スタジオ(@代々木上原)にお邪魔して、
同スタジオ所蔵の信時潔関係資料を拝見させていただきました。
そのなかに、今回収録したレコードで歌われているのに、歌詞カードが見つからず、
自筆譜はもちろん、今まで確認された出版譜、印刷譜に載っていないため
聴き取りだけでは掲載できなかった「大島節」の3番の歌詞が見つかりました。
DISC1-04 解説書のp.19の歌詞は、一番から次の通りとなります。
ただし、見つかった楽譜中にはひらがなで書き込まれていましたので
漢字表記は私の判断によるものです。
あー
私しや大島
御神火(ごじんか)育ちよ
胸に煙りがよ
絶えやせぬ
あー
躑躅(つつじ)椿は
お山を照らすよ
殿のお船はよ
灘(なだ)照らす
あー
別れつらくも
帆を巻く朝はよ
涙ながすなよ
波が立つ
なお、見つかった印刷譜は「日本放送協会」の名が入ったもので、印刷年の表示は無し。
2種みつかったもの両方に、3番の歌詞がペン、鉛筆で書き込まれています。
今回のCDに収録されている木下保指揮「大島節」のレコードは昭和11年7月17日録音。
ほかに、 昭和16年7月10日に、木下保指揮・東京交声楽団の演奏が放送された記録が
あります。
團伊玖磨さんと信時潔は、直接師弟関係はありませんでしたが、團さんの書かれたものにいくつか信時潔が登場していて、その文章からは、團さんの思いが伝わってきます。
DISC-1 の「紀の国の歌」の解説では、パイプのけむりシリーズの中の、この曲に関する部分を紹介しています。 この記事を見つけることができたのは、早崎日出太さんによる 團伊玖磨全仕事 というサイトのおかげです。 なかでも パイプのけむり のページの右下に、「パイプのけむり辞書」の入り口があって、なんとすばらしいことに、人名などで検索ができるのです。團さんが、信時潔との関わりを、何かお書きになっているだろうと思っていたものの、同シリーズ全27巻に目を通すことはできずにいました。この「辞書」で探して、収録されている書名を調べ、書店や、近くの図書館で確認できないものは、近代文学館まで行って閲覧したものもあります。
このサイトの徹底した仕事ぶりには「敬服」のひとこと。個人研究サイトとしても、とても参考になります。
團さんの『好きな歌・嫌いな歌』という本には「海ゆかば」について書いた章があります。
http://www.tasc.or.jp/~pipedan/other/newpage13sukinautakirainauta-bunko.bak
また、『私の日本音楽史―異文化との出会い 』(NHKライブラリー 1999)という本があるのですが、これは、NHKの人間大学「日本人と西洋音楽」(1997年放送)で放送したものを、のちにまとめたものです。
http://www.tasc.or.jp/~pipedan/other/newpage47.htm
↑ このページ ↑ に書かれている「この(放送)内容は、簡略化しているのでちゃんとしたものを書きたいとおっしゃっていた」という、簡略化されて載せられなかった内容のひとつが「信時潔」だったようです。放送当時は、ほとんど触れられていませんでしたが、NHKライブラリーの本になった時に、書き加えられました。