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このブログやウェブサイト「信時潔研究ガイド」には、日本歌曲の歌い方、詩の分析や解釈について調べてたどり着く方も多いようです。
そんな方たちの支持を得ている本が『日本名歌曲百選 詩の分析と解釈』(1)(2)の二冊です。
畑中良輔監修、塚田佳男選曲・構成、黒沢弘光解説 (音楽之友社)
この時期に探している方が増えるのは、もしかすると奏楽堂日本歌曲コンクールのせいでしょうか?歌詞や歌い方を深く意識して「日本歌曲」を歌うことが、浸透してきていることを感じます。
信時作品は同書の第1巻に「我手の花」と、組曲「沙羅」の各曲については各1ページづつ、「茉莉花」については2ページ、第2巻に「小倉百人一首より」について4ページの「詩の分析と解釈」が書かれています。
参考までに、以下に、そのほかの収録楽曲を載せておきます。
日本名歌曲百選 詩の分析と解釈 (1)
●滝廉太郎 荒城の月/花
●小松耕輔 泊り舟
●本居長世 白月
●梁田 貞 城ヶ島の雨
●山田耕筰 鐘が鳴ります/六騎(ろっきゅ)/蟹味噲(がねみそ)/病める薔薇(そうび)/木の洞(うろ)/樹立(こだち)/唄/嘆(なげき)/燕(つばくらめ)/愛と祈り/歌曲集「風に寄せてうたへる春のうた」(Ⅰ 青き臥床(ふしど)を/Ⅱ 君がため/Ⅲ 光に顫(ふる)ひ/Ⅳ たゝへよ、しらべよ)/歌曲集「AIYANの歌」(I NOSKAI/Ⅱ かきつばた/Ⅲ AIYANの歌/Ⅳ 曼珠沙華(ひがんばな)/Ⅴ 氣まぐれ)/歌曲集「雨情民謡曲集」(Ⅰ 捨てた葱/Ⅱ 紅殻とんぼ/Ⅲ 二十三夜/Ⅳ 波浮の港/Ⅴ 粉屋念佛)
●斎藤佳三 ふるさとの
●信時 潔 我手の花/茉莉花(まつりくわ)/歌曲集「沙羅(さら)」(丹澤/あづまやの/北秋の/沙羅(さら)/鴉(からす)/行々子(よしきり)/占ふと/ゆめ)
●弘田龍太郎 小諸なる古城のほとり
●成田為三 浜辺の歌
●大中寅二 椰子の実
●橋本国彦 牡丹/なやましき晩夏(おそなつ)の日に/薊(あざみ)の花/黴(かび)/舞/斑猫(はんみょう)
●平井康三郎 平城山(ならやま)/甲斐(かい)の峡(さわ)/九十九里浜
●石渡日出男 汚れつちまつた悲しみに
●清水 脩 サーカス
●團伊玖磨 歌曲集「五つの断章」(一 野辺/二 舟唄/三 あかき木の実/四 朝明(あさあけ)/五 希望)/歌曲集「わがうた」(一 序のうた/二 孤独とは/三 ひぐらし/四 追悼歌/五 紫陽花(あじさい))/歌曲集「三つの小唄」(一 春の鳥/二 石竹/三 彼岸花)
●中田喜直 桐の花/すずしきうなじ/またある時は/たんぽぽ/甃(いし)のうへ/木兎(みみずく)/歌曲集「海四章」(1 馬車/2 蝉/3 沙上/4 わが耳は)/歌曲集「マチネ・ポエティクによる四つの歌曲」(1 火の鳥/2 さくら横ちょう/3 髪/4 真昼の乙女たち)
●別宮貞雄 歌曲集「淡彩抄」/泡/螢/入墨子(いれぼくろ)/涼雨/別後/燈(ともしび)/天の川/青蜜柑/鷺/春近き日に
●三善 晃 歌曲集「聖三稜玻璃」(1 いのり/2 曼陀羅/3 青空に/4 ほんねん)/歌曲集「抒情小曲集」(ほおずき/少女よ/雨の降る日/小曲/五月)
日本名歌曲百選 詩の分析と解釈〈2〉
●小松耕輔 母/砂丘の上
●山田耕筰 赤とんぼ/かやの木山の/来るか来るか/夜曲/みなぞこの月/待宵草(まつよひぐさ)/みぞれに寄する愛の歌/歌曲集「幽韻五章」(Ⅰ 花の色は/Ⅱ 忘らるゝ/Ⅲ あらざらむ/Ⅳ 玉の緒よ/Ⅴ わが袖は)/歌曲集「澄月集」(Ⅰ 山また山/Ⅱ 月をのする/Ⅲ 行きまよひ/Ⅳ ただ澄める/Ⅴ なかなかに)
●弘田龍太郎 叱られて/昼
●梁田 貞 昼の夢
●清瀬保二 なめいし/嫌な甚太
●信時 潔 歌曲集「小倉百人一首」(月見れば/久方(ひさかた)の/花の色は/淡路島(あわじしま)/長からむ/逢ふことの/人はいさ/時鳥(ほととぎす))
●中田章 早春賦
●平井康三郎 秘唱/歌曲集「日本の笛」(祭もどり/かじめとたんぽぽ/親船小船/浪の音/あの子この子/たまの機嫌と/ぬしは牛飼い/びいでびいで/仏草花/関守/追分/夏の宵月/くるくるからから/落葉松(からまつ)/伊那/山は雪かよ/ちびツグミ/渡り鳥/ここらあたりか/あひびき/野焼のころ)
●清水 脩 歌曲集「抒情小曲集」(春の寺/月草/ふるさと/三月/蛇/小曲/朱の小箱/雪くる前/逢ひて来(こ)し夜は/寂しき春/木の芽/桜と雲雀)
●箕作秋吉 歌曲集「芭蕉紀行集」(一 野ざらしを/二 馬にねて/三 海くれて/四 冬の日や/五 あらたふと/六 閑(しず)かさや/七 荒海や/八 五月雨(さみだれ)の/九 菊の香や/十 旅に病て)
●高田三郎 歌曲集「啄木短歌集」(Ⅰ やはらかに/Ⅱ 頬につたふ/Ⅲ いのちなき/Ⅳ 病のごと/Ⅴ 不来方(こずかた)の/Ⅵ ふるさとを/Ⅶ はづれまで/Ⅷ あめつちに)/歌曲集「前奏曲抄」(わたしの心にある三つのものよ/忘却の時にあって/雨は降る/虻(あぶ)は飛ぶ/わたしは帰って行くであろう)
●大中恩 歌曲集「五つの抒情歌 その1」(ふるみち/思ひ出の山/しぐれに寄する抒情/おもかげ/ふるさとの)/歌曲集「五つの現代詩」(広場/骨/さすらい/はたらいた人達/昨日いらっしって下さい)
●古関裕而 白鳥(しらとり)の歌
●中田喜直 悲しくなったときは/未知の扉
●團伊玖磨 歌曲集「萩原朔太郎に依る四つの歌」(一 雲雀料理/二 草の莖/三 遊泳/四 笛〈参考:天上縊死(いし)〉)
●小林秀雄 瞳/落葉松(からまつ)
●猪本隆 悲歌
〈コラム〉短歌の韻律/「――む」をどう発音するか/「む」と「ん」の発音
民主党、鳩山由紀夫代表の動向が連日報道されています。選挙速報番組や、そのあとの新聞報道などで「鳩山」「友愛」という言葉が出てくるたびに思い出していたのが、信時潔作曲「友愛の歌」です。
もっとも、これは現在歌われているらしい「友愛の歌」とは別物です。現在の「友愛の歌」の作曲者や歌詞など、詳細がわからないのですが(検索するとYOU TUBE 投稿作品などに繋がりますが何やらとてつもないものが出てきそうで恐ろしくて開けません)、たとえば「友愛創立50周年記念記念集会」というページには「友愛の歌」の歌詞らしいものが載っていて「♪雲開き~ 朝日は昇る~♪」とありました。
信時潔作曲の「友愛の歌」は、中河幹子作詞。冒頭の歌詞は「ふじしろく てんにそびえて」。作曲年は1963年頃とわかっています。自筆譜は二種、それぞれピアノ伴奏付の二部合唱と四部合唱譜があり、タイトルは「(友愛)」「(友愛の歌)」と書かれているものと、記載がないものがあります。楽譜の届け先らしき住所と名前が「文京区・・・(中略)・・・鳩山薫」とありました。1枚2つ折の「印刷譜」は、二部合唱(伴奏なし)で、タイトルは「友愛の歌」。出版事項(出版社、出版年)や会の名前などの記載は一切ありません。
これ以外の情報が無く、どのような事情で作曲されたのか、団体歌なのか、一般的な歌曲、合唱曲と考えれて良いのかも定かではなかったので、調査を試みたのは7年前のことです。インターネットで、「鳩山薫」さんを調べてみると、どうもあの鳩山家と関係がありそうです。
いきなり鳩山家に聞いてみるわけにもいかないと思っていたところ、共立女子学園の関係の方らしいとわかってきたので、共立女子大学図書館に連絡して調べていただきました。
作詞者の中河幹子さんは、中河与一夫人で、同学園で長らく教鞭をとっていらした方だそうです。
(財)日本友愛青年協会発行『友愛の旗のもとに-友愛青年連盟40年史』に昭和29年に「友愛の歌」を募集によって決定した記録があるそうですが、これは信時作品ではありません。(たぶんこれが、現在も歌われている「友愛の歌」なのでしょう)
学校法人の事務局や、(財)日本友愛青年協会の事務所では、それ以上詳しいことがわからなかったようですが、ここからは共立女子学園の石橋義夫学園長に直接尋ねてくださってわかったことです。
鳩山薫先生は永く共立女子学園の学園長・理事長をされ、また友愛運動にも尽力されました。初代会長の鳩山一郎先生が亡くなられたあと、第2代会長になられ、また友愛婦人会の会長もされていました。
信時潔作曲「友愛の歌」は、昭和30年代に友愛婦人会の歌として、鳩山薫先生が親しくされていた中河幹子先生に作詞を依頼。そして作曲は現石橋義夫学園長・理事長が、当時国分寺の信時潔宅に、依頼に行ったそうです。
この「友愛の歌」は婦人会内で歌われていたので、外部には出ていないのではないかとのことでした。これ以上の情報や、楽譜そのものは現在共立女子学園では確認できないようです。
もう一つの「友愛の歌」と区別するために、信時潔作曲 団体歌のリストでは
「友愛の歌(友愛婦人会の歌)」としてあります。
←「友愛の歌」印刷譜 表紙